従業員を雇う際には、事前に必要な手続きを理解し、適切に準備することが重要です。特に、労働契約の締結や労働条件の明示、法的手続きを怠ると、トラブルの原因になることがあります。今回は、雇用契約書の作成から明示義務、必要な手続きについて詳しく解説します。
目次
労働契約書の作成と労働条件の明示
従業員を雇う際には、口頭での約束ではなく、書面で労働契約を交わすことが重要です。
労働基準法では、労働条件の明示が義務付けられており、特に雇用期間、就業場所、業務内容、勤務時間、賃金、退職に関する事項については、書面または電子データで従業員に通知する必要があります。これらの条件を明確にすることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
労働契約書には、雇用期間がある場合はその更新条件、就業場所や業務内容の詳細、勤務時間や休憩時間、休日・休暇のルール、賃金の計算方法や支払い日、解雇や退職の条件などを盛り込みます。
また、賞与や昇給、退職金の有無、福利厚生の内容などについても記載しておくと、従業員との間で認識のズレを防ぐことができます。
36協定の締結
フルタイムの従業員を雇う場合、時間外労働や休日労働が発生する可能性があるため、時間外・休日労働に関する協定届(36協定)を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。
法律上、1日8時間、週40時間を超えて労働させる場合や、法定休日に労働をさせる場合は36協定が必要となります。
36協定には、対象となる業務や従業員の範囲、時間外労働の上限(原則として月45時間、年360時間)、休日労働の条件、特別条項を適用する場合の最大時間数(年720時間以内、単月100時間未満)などを明記しなければなりません。36協定を締結せずに法定労働時間を超える労働を行わせると、労働基準法違反となり罰則の対象になりますので、注意が必要です。
社会保険・労働保険の加入手続き
従業員を雇う際には、社会保険および労働保険への加入手続きを行う必要があります。
健康保険・厚生年金保険については、原則として正社員の働き方を基準に、労働時間と日数が正社員の4分の3以上(週40時間であれば週30時間以上)勤務する従業員が加入対象となります。
労災保険については、雇用形態に関係なく全従業員が適用対象です。
雇用保険は、週20時間以上勤務し、31日以上継続して雇用する予定の従業員が加入対象となります。
これらの手続きを怠ると、後に従業員からの指摘や行政からの指導が入る可能性がありますので、適切に対応することが求められます。
雇用契約の締結から明示の流れ
雇用契約書を作成し、必要な項目をすべて網羅しているかを確認します。
次に、個別の労働条件を明示し、契約内容に従業員が納得したうえで、双方が署名・捺印を行い、労働契約書の控えを従業員に渡します。
入社オリエンテーション等を実施し、勤務ルール等についても詳しく説明し、必要に応じて研修を実施することで、スムーズな職場環境の構築につなげます。
まとめ
従業員を雇う際には、さまざまな労働関連の法律が適用されるため、企業として対応すべきことが多岐にわたります。
とくに、労働契約書を作成し、適切に明示すること、36協定が必要な場合は事前に締結し届出を行うこと、社会保険・労働保険の手続きを忘れずに行うこと、入社手続きの流れを明確にしスムーズに進めることが大切です。
これらのポイントを押さえることで、適切な労務管理ができ、トラブルを未然に防ぐことができます。
特定社会保険労務士 新木ゆずは